ID-363 JASO二輪車用4サイクル油規格利用システムについて | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
日本は世界有数の二輪車用4サイクルエンジン生産・輸出国です。しかしながら二輪自動車用4サイクルエンジン油(以下4サイクル油という)については、国内外に通用する規格が存在しませんでした。そのため、二輪自動車用4サイクルエンジンの要求に合致しない4サイクル油が使用された場合、問題が発生することがありました。そこで(社)自動車技術会は、「二輪自動車−4サイクルガソリンエンジン油の規格(JASO T 903規格)」を制定し、オイルの性能に応じてMA、MBと呼ばれる2つの分類(グレード)を規定しました。規格の概要は次のとおりです。 ◇JASO規格(JASO T 903:1998)の概要
注:3種類の摩擦特性指数のうち、一つでもMAの基準指数に達しない二輪車用4サイクル油はMBに分類される。
注(1) 試験方法は、ディーゼルインジェクタ法を用い、標準試験条件(30サイクル)で行う。 ◇4サイクル油規格利用システム運用の概要 システム運用の考え方については、4サイクル油の製造会社や販売会社が自主的に、定められた性能試験を行い、該当するグレードを自らの判断と責任において所定の様式に従い容器表示を行うというものです(自己認証制度)。 このJASO規格を適正に運用し、国内外に広く普及させるとともに、将来は国際規格(ISO)への採用を働きかけることを目的に、二輪車用4サイクルガソリンエンジン及びエンジン油に関連する業界団体や学会等が協力して、「JASOエンジン油規格普及促進協議会」(旧:「JASO 2サイクル油規格普及促進協議会」)が設立されております。同協議会は、石油連盟、(社)日本自動車工業会、(社)自動車技術会、(社)日本陸用内燃機関協会、(社)潤滑油協会、(社)日本舟艇工業会の6団体と、その他の関連企業(添加剤会社4社)で構成されています。 同協議会では、関係者に対して協議会が別に定める「JASO二輪車用4サイクル油規格利用ガイドライン」及び「二輪自動車−4サイクルガソリンエンジン油性能分類(JASO T 903)の規格利用マニュアル」に従い、JASO規格の適正利用を働きかけることになりました。 なお、同協議会ではJASO二輪車用4サイクル油規格を利用される4サイクルエンジン油の販売会社が、オイル缶等にグレードを表示する場合は、同協議会に性能試験結果、表示内容等を届出ていただくよう協力を求め、これらを整理保管(オンファイル)し、JASO規格の適正な普及を図るための基礎資料として活用することになりました。また、ユーザーの混乱を避けるため、グレード表示の様式を定め、これに従って表示するように働きかけることになりました。 グレード表示の様式は、図1に示すとおりです。 図1 表示様式例 届出の受付、オンファイル業務につきましては、同協議会から委託を受けて、(社)潤滑油協会が実施しております。 今後、このJASO二輪車用4サイクル油規格は4サイクル油の品質、性能を確保し、また消費者が4サイクル油を購入する際の選択基準を明確にするという当初の目的を果たしつつ、将来の国際規格(ISO)への展開等もその目的のひとつとし、国際的に広く普及していくものと期待されます。 (届出の受付、オンファイル等の問合せ先) 〒273−0015千葉県船橋市日の出2−16−1 (社)潤滑油協会・事業部 TEL 047−433−5181 参考文献 |
・JASOエンジン油規格普及促進協議会 二輪自動車−4サイクルガソリンエンジン油性能分類 (JASO T 903)の規格利用マニュアル、平成11年4月発行 ・JASOエンジン油規格普及促進協議会 JASO二輪車用4サイクル油規格利用ガイドライン、平成11年4月発行 |