ID-087 電気絶縁油の発火点について |
石油製品は可燃性物質であり、製品の引火点は使用上非常に重要な要素(消防法等)となっています。 潤滑油は機械や設備の設計段階において、それほど高温で使用されることなく、また高温物体に直接触れることのないように配慮されています。高温での使用が避けられない場合は、難燃性あるいは不燃性潤滑剤が使用されます。 そうした点から、発火点は一般にはさほど重要視されていません。 引火点・燃焼点・発火点の相違を表1にまとめました。 |
引火点 | 試料を加熱して、小さな炎を油面に近づけた時、せん光を発して |
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瞬間的に燃焼する最低の温度。 | |
『試験方法:JIS K 2265−1996』 | |
燃焼点 | 試料を加熱して、小さな炎を油面に近づけた時、連続して5秒間 |
以上燃焼する最低の温度。 | |
発火点 | 試料を加熱した時、花火や火炎を接触させなくても自然に燃焼を |
開始する(発火する)最低の温度。 | |
『試験方法:ASTM E 659−78』 |
電気絶縁油においては、ナフテン系・パラフィン系のタイプ共に大差はないようです。表2に引火点と発火点を表示しました。 |
油種名 |
引火点 (COC)℃ |
発火点 ℃ |
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電気絶縁油(パラフィン系) 電気絶縁油(ナフテン系) タービン46 |
138 146 236 |
約320 約320 約360 |
一般には発火点は、引火点の低い石油類の方が高いと言われていますが、潤滑油の場合、複数の基油をブレンド使用されることが多く、一概にはいえません。 なお、この試験方法は電気炉を一定温度に維持し、注射器で一滴炉内の受け皿に滴下させ、発火の有無を目視または電気信号で捕らえる方法ですが、精度は若干劣ります。 図2に試験装置(ASTMに準拠)の概要を示します。 |