ID-101 JIS規格のさび止め油について JIS規格のさび止め油は、鉄鋼を主とした金属材料及び製品のさびを一時的に防止するために用いるさび止め油について規定したものです。 | |
1. 分類 その目的や用途に応じて種々のタイプがあり、JIS K 2246(1994)では表1のように分類されています。記号NPのNは日本、PはPreservative(保護)の略です。 |
種類 | 記号 | 膜の性質 粘度等 |
主な用途 | ||
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指紋除去形 さび止め油 |
1種 | NP-0 | 低粘度油膜 | 機械部品などに付着した指紋の除去とさび止め | |
溶剤希釈形 さび止め油 |
1種 | NP-1 | 硬質膜 | 屋内、屋外のさび止め | |
2種 | NP-2 | 軟質膜 | 主として屋内のさび止め | ||
3種 | 1号 | NP-3-1 | 軟質膜 | 主として屋内のさび止め (水置換形) |
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2号 | NP-3-2 | 中高粘度油膜 | |||
4種 | NP-19 | 透明、硬質膜 | 屋内、屋外のさび止め | ||
ペトロラタム形 さび止め油 |
1種 | NP-6 | 軟質膜 | 転がり軸受等の高度な機械仕上げ面等のさび止め(塗布温度80℃以下) | |
潤滑油形 さび止め油 |
1種 | 1号 | NP-9 | 低粘度油膜 | 金属材料及び製品のさび止め |
2号 | NP-8 | 低粘度油膜 | |||
3号 | NP-7 | 中粘度油膜 | |||
2種 | 1号 | NP-10-1 | 低粘度油膜 | 内燃機関のさび止め。主として保管及び中負荷で一時的に運転する場合に用いる。 | |
2号 | NP-10-2 | 中粘度油膜 | |||
3号 | NP-10-3 | 高粘度油膜 | |||
気化性 さび止め油 |
1種 | 1号 | NP-20-1 | 低粘度油膜 | 密閉空間内のさび止め |
2号 | NP-20-2 | 中粘度油膜 |
(1) 指紋除去形さび止め油 金属表面に付着している指紋を除去する能力をもつさび止め油 (2) 溶剤希釈形さび止め油 不揮発性材料を石油溶剤に希釈または分散させたさび止め油で、 塗布後溶剤が揮発してさび止め被覆膜を形成する。 (3) ペトロラタム形さび止め油 常温で半固体状のペトロラタムなどを基材とするさび止め油。 (4) 潤滑油形さび止め油 石油の潤滑油留分を基材とする油状のさび止め油。 (5) 気化性さび止め油 常温で気化するさび止め剤を含むさび止め油。 |
2.品質及び性能 さび止め油は主として、石油基材に腐食抑制剤を添加したもので、砂、その他のきょう雑物を含まず、表2〜6の規定に合格しなければなりません。 |
項目 |
NP-1 | NP-2 | NP-3-1 | NP-3-2 | NP-19 | |||||||||||||||||||||||||
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引火点(℃) | 38以上 |
38以上 |
38以上 |
70以上 |
38以上 |
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乾燥性 | 不粘着の状態 | 軟らかい状態 | 軟らかい状態 | 軟らかい状態又は油状態 | 指触乾燥の状態(4h)不粘着の状態(24h) | |||||||||||||||||||||||||
流下点(℃) | 80以上 |
− |
− |
80以上 |
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低温付着性 | 膜のはがれのないこと |
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水置換性 |
− |
さび、肌荒れ及び汚れが認められないこと | − |
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噴霧性 | 膜が連続していること |
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分離安定性 | 相の変化、分離が認められないこと。 |
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除 膜 性 1) |
耐候性後 | 30回 |
− |
− |
− |
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包装格納後 | − |
15回 |
6回 |
15回 |
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透明性 | − |
印が見えること |
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腐食性 | 質量変化(mg/cm3) |
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膜厚(μm) | 100以下 |
50以下 |
25以下 |
15以下 |
50以下 |
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防錆能 2) |
湿潤 | − |
720h |
720h |
480h |
720h |
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塩水噴霧 | 336h |
168h |
− |
336h |
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耐候性 | 600h |
− |
− |
− |
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包装格納性 | − |
360d |
180d |
90d |
360d |
1)除膜される回数 2)さびA級(さびの発生しない状態)の時間 |
項目 |
NP-0 |
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引火点 ℃ | 38以上 |
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動粘度(mm2/s,40℃) | 12以下 |
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分離安定性 | 相の変化、分離が認められないこと |
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指紋除去性 | さびが認められないこと |
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除膜性 | 湿潤後 | 除膜されること |
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腐食性 | 質量変化 mg/cm3 | 鋼 ±0.1 亜鉛 ±3.0 鉛 ±45.0 黄銅 ±1.0 Al ±0.1 | |
取扱い防食性 | さびが認められないこと |
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さび止め性能 | 湿潤 | A級(168h) |
項目 |
NP-6 |
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ちょう度 | 200〜325 |
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融点 ℃ | 55以上 |
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引火点 ℃ | 175以上 |
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分離安定性 | 相の変化、分離が認められないこと |
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蒸発量 % | 1.0以下 |
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酸素吸収 kPa(100h) | 150以下 |
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沈澱価 | 0.05以下 |
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磨耗性 | 傷がないこと |
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除膜性 | 除膜れること |
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流下点 ℃ | 40以上 |
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除膜性 | 除膜されること(15回) |
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低温付着性 | 膜のはがれが認められないこと |
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腐食性 | 質量変化(mg/cm3) |
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さび止め性能 | 湿潤 | A級(720h) |
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塩水噴霧 | A級(120h) |
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包装格納性 | A級(360d) |
項目 |
NP-20-1 |
NP-20-2 |
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引火点 ℃ | 115以上 |
120以上 |
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流動点 ℃ | -25.0以下 |
-12.5以下 |
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動粘度 mm2/s | 100℃ | − |
8.50〜12.98 |
|
40℃ | 10以上 |
95〜125 |
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揮発性物質 % | 15以下 |
5以下 |
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粘度変化 % | -5〜20 |
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沈殿価 | 0.05以下 |
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炭化水素溶解性 | 相の変化、分離が認められないこと |
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酸中和性 | さび、肌荒れ、汚れ及び変色が認められないこと |
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水置換性 | さび、肌荒れ及び汚れが認められないこと |
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腐食性 | 質量変化(mg/cm3) | 鋼 ±0.1 銅 ±1.0 Al ±0.1 | ||
さび止め性能 | 湿潤 | A級(200h) |
||
気化性さび止め性 | さびが認められないこと |
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暴露後の気化性さび止め性 | さびが認められないこと |
|||
加温後の気化性さび止め性 | さびが認められないこと |
項目 |
NP-7 |
NP-8 |
NP-9 |
NP-10-1 |
NP-10-2 |
NP-10-3 |
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引火点 ℃ | 180以上 |
150以上 |
130以上 |
170以上 |
190以上 |
200以上 |
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流動点 ℃ | −10以下 |
−20以下 |
−30以下 |
−25以下 |
−10以下 |
−5以下 |
||
動粘度 mm2/s |
(40℃) |
(40℃) |
(40℃) |
(−18℃) |
(100℃) |
(40℃) |
||
粘度指数 | − |
− |
− |
75以上 |
70以上 |
|||
酸化安定度 |
− |
− |
− |
300以下 |
200以下 |
|||
全酸価nの増加 (mgKOH/g) |
− |
− |
− |
3.0以下 |
3.0以下 |
|||
揮発性物質量% | − |
− |
− |
2以下 |
||||
泡立ち性 | 泡立ち量ml | 24℃ | − |
− |
− |
300以下 |
||
93.5℃ | − |
− |
− |
25以下 |
||||
93.5℃後の24℃ | − |
− |
− |
300以下 |
||||
酸中和性 | − |
− |
− |
さび、肌荒れ、汚れ及び変色が認められないこと | ||||
鋼鈑腐食(100℃3h) | 2以下 |
− |
||||||
除膜性(湿潤後) | 除膜されること |
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防錆能1) | 湿潤 | 240h |
192h |
480h |
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塩水噴霧 | 48h |
− |
− |
− |
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塩水浸せき | − |
− |
− |
20h |
1)さびA級(さびの発生しない状態)の時間 |