ID-145 無灰型耐摩耗性油圧作動油の添加剤 | |||||||||||||||||||||||||||
工場の設備機械や建設機械の油圧装置には耐摩耗性油圧作動油が広く使用されています。 多くは、酸化防止剤、極圧剤、腐食防止剤としてすぐれた機能を発揮する「ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)」という添加剤が採用されています。 しかし、近年建設機械をはじめとする各種機械類にコンパクト化、高効率化が求められ、油圧作動油も高温・高圧での使用が増加してくると、ZnDTPの熱分解によるスラッジの発生が問題となってきました。このため、高温状態の厳しい条件下でもスラッジの発生が少ないスラッジフリー油圧作動油が開発されました。 スラッジフリーとする方法の一つに、ZnDTPの代わりに主としてりん酸エステルを使用する方法があります。灰分量測定試験では燃焼して灰化しないため、無灰(アッシュレス)型耐摩耗性油圧作動油(以下 無灰型作動油)とも呼ばれます。 表1には無灰型作動油の組成例と比較のためZn系作動油の例を示します。 無灰型作動油は、高温高圧下での使用が目的であることから、ベースオイルについても酸化劣化時にスラッジ化しにくい低硫黄・低アロマ基油(例:水素化処理油や水素化分解油)が多く使用されており、これらはロングライフ仕様となっています。
耐摩耗性剤として使用する、りん酸エステルは高温 高荷重にあるしゅう動面が境界潤滑状態にある時、金属面と反応してりん酸皮膜を形成して金属同士の凝着を防止し、焼付き防止、摩耗防止の作用を発揮します。 また、酸化防止剤にはフェノール系のDBPC(ジブチルパラクレゾール)と耐熱性の高いアミン系がバランスよく配合され、その相乗効果をあげています。 図1には、無灰型作動油とZn系作動油のTOSTによるスラッジの生成量の違いを示しました。 また、実際の使用に当っては両者を混合使用しないことと、管理する場合には全酸価の初期値が異なりますので留意する必要があります。
![]() 試験条件 ポンプ圧力;35MP,油温;80℃ 触媒;銅および鉄板,エア吹込み 図1 高圧ポンプ試験による汚染度の推移 |