ID-321 ILSAC規格について
 
 
1. ILSAC規格制定の経緯
 
 ILSAC規格とは、International Lubricant Standardization and Approval Committee(国際潤滑油標準化認証委員会)が定めた自動車用ガソリンエンジン油の規格です。まず、ILSAC規格が登場した背景について簡単にご説明いたします。米国ではAPI(米国石油協会)の定めた自動車用エンジン油の品質分類があり、日本でも広く使用されています。ILSAC規格が登場する以前の米国で市販されていた一部のオイルは、APIの品質表示があっても実際はその規格に合格しない低品質油でした。そこで、APIの認証システムでは市場から低品質油を無くせないと考えた米国自動車工業会は新しい認証システムを独自に発表しました。また、米国自動車工業会は日本自動車工業会の参加を得てILSACが作られ、ILSAC GF−1という規格が1990年に制定されました。その後、米国自動車工業会はAPIと協議を行ない、1992年に新しい認証システムが作られ、現在のILSAC規格はこの新しい認証システムに基づいて運営されています。ちなみにILSAC規格は1997年にILSAC GF−1からILSAC GF−2に全面的に切り替わっています。
 この規格を満たしたオイルには図のようなマークが表示されています。APIシンボルマークはエンジン油の性能(この例では、省燃費試験に合格したAPI SJの品質油で、粘度グレードは5W−30)を示し、API認証マークは、ILSACの最新品質基準に合格したことを表わしています。
 現在、GF−2の次期規格 GF−3の規格案が発表されており、2000年にはGF−2から全面的に切り替わると予想されます。
 

 
APIサービスシンボル
(ドーナツ)

 

 
API認証マーク
(スターバースト)

 
 
2.ILSAC GF−2規格について
 
 ILSAC規格は、おおざっぱに言うとAPI規格に省燃費性能という絵になっています。したがって、GF−2は省燃費性を持つAPI SJにという事になります。さらに、排出ガス浄化触媒に与える影響やエンジン油の蒸発性といった点も考慮されたものとなっています。
 次にGF−2に規定されている要求性能を示しました。
  ・粘度の規定
  ・ エンジン試験性能
 
試験法 試験目的

シーケンスIID

シーケンスIIIE(高温酸化試験法)

粘度増加と摩耗

シーケンスVE(中高温試験法)

スラッジと摩耗

L−38

ベアリングの腐蝕

シーケンスVIA

省燃費性能

  ・ 蒸発性(高温でのオイルの蒸発性)
  ・ フィルター目詰まり性(水が混入したときのフィルター目詰まり性)
  ・ 泡立ち性(低温〜高温での泡立ち性)
  ・ 引火点
  ・ せん断安定性(使用中の機械的作用による粘度低下)
  ・ 混合安定性(他のエンジン油と混じったときに分離や沈殿が生じないこと)
  ・ 高温デポジット(高温での堆積物生成)
  ・ 触媒被毒性(触媒に悪影響を与えるリンの量を規定)
 
 

 
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